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インタビュー
- 地域の皆さんの健康のために美しい歯を守る
地域の皆さんの健康のために美しい歯を守る
- <プロフィール>
吉田 聡美さん
松本歯科大学卒業、歯科医師免許 臨床検査技師免許取得。モアナ歯科クリニック理事、歯科医師。一児の母でもあり、雑誌やテレビ等のメディア活動もしつつ、ホスピタリティを大切に、地域の患者様から愛されるドクターをモットーに診療を行っております。
モアナ歯科クリニック ホームページ
http://moana-dc.smart-change.info/
- ー まず、吉田先生の専門分野についてお聞かせください。
- モアナ歯科では地域医療に貢献する形で虫歯治療や歯周病治療などの一般歯科診療を中心に審美治療、小児治療を行っています。私は人を綺麗にすることが好きなので、インビザライン矯正や、本来なら歯科衛生士さんが行えるホワイトニングもできる限り行うようにしています。
また、基本的にホワイトニングは自分の歯しか白くすることができないのですが、ティースマニキュアといって銀歯などの被せものやホワイトニングが適応にならない変色歯磨なども一時的に白くすることができる施術もしています。
最近では歯科でもヒアルロン酸やボトックスを使った治療ができるようになったので、資格をとって、そういったニーズにも対応しています。どうしても歯がなくなってしまうと口の周りや唇が痩せてしまうのですが、この治療ができることによって口腔機能を回復したあとにさらに顔貌を回復して、元の状態に戻すところまでできるようになりました。
また、私は子供が大好きで、自身の子供が小さいこともあり、子供の扱いに慣れているので、歯科治療が初めてというような小さいお子さんの治療も得意です。
- ー どのようなお悩みをお持ちの患者さんが多いでしょうか。
- 最近は虫歯治療や歯周病治療だけでなく、ホワイトニングも含めて美治療の需要が増えていますね。女性だけでなく男性も多いですし、年齢層もさまざまです。先日も70代の患者さまから治療後にホワイトニングをご希望されました。
「歯の健康は体の健康につながる」という意識が広がっているのかもしれません。年齢を重ねるにつれて歯の黄ばみなども出てくるのですが、ホワイトニングを行うことでできる限り抑えることができます。
- ー 虫歯や歯周病は遺伝による影響があるのでしょうか。
- 基本的には虫歯になりやすい体質というのはありません。毎日の歯磨き、食事や間食などの食習慣などが影響しています。そのため、治療の中で患者さまに歯磨き指導、食事指導や間食指導をすることもあります。
生まれたての赤ちゃんの口の中は無菌状態ですが、歯が生えてくるようになると食事やスキンシップなどでお父さんやお母さんから菌をもらいます。お父さんやお母さんに虫歯菌や歯周病菌があるとその細菌が感染する可能性も高くなるので、それが遺伝と思われる理由かもしれませんね。
- 口腔機能の低下が消化器系の負担につながる
- ー 歯の健康に腸も関わっていると思いますか。
- 腸が悪いから歯に問題が起きるというのは考えにくいのですが、反対に、口腔機能が落ちているから消化器系に問題が起きることは十分にあると思いますね。
歯が抜けたままになっていたり歯周病などで歯がぐらついていたりするのをそのままにしていると、噛む力が弱くなってきます。患者さま自身は慣れてしまうので気づかないことが多いのですが、私たちからすると咬合機能が低下している状態だとわかります。そのような患者さまを見ると“きっとうまく噛み切れていないうちに飲み込んでしまっているだろうな”と思いますね。
噛むことで唾液がたくさん出て消化を助ける働きをするので、口腔機能が低下することで消化器系には随分負担がかかっていると思います。
- ー 歯周病と腸内環境の関係性についてはどのようにお考えですか。
- エビデンスはまだ確立されてはいないのですが、そのテーマの論文を発表されている先生がいらっしゃるのは知っています。
歯周病菌が糖尿病や心筋梗塞などの全身疾患に相互関係があることは以前からわかっていたのですが、腸内細菌が引き起こす全身疾患と似たような疾患を同じように引き起こすということがわかって、大腸菌と歯周病菌に関係があるのではないかと考えられています。
口の中にある歯周病菌を唾液と一緒に飲み込むことで、腸内環境が悪い状態のときにさらに助長してしまうのではないかともいわれています。
- ー 口腔内も腸内環境は似ているのでしょうか。
- 口腔内は大腸の次に細菌が多いといわれています。皆さんの口の中にはさまざまな種類の細菌がいるのですが、腸内環境と同じようにどっちつかずの口腔内常在菌はいるものの、健康に良い菌というのは存在していないため、細菌数をどれだけ減らせるかということが大切になってきます。
細菌数の減らし方は患者さまの口腔内の状態によって変わってくるのですが、普段の歯磨きでも十分減らすことができます。歯茎の中に入り込んだ細菌がある場合は、歯医者さんでの専用の器具を使用して減らすことができます。また、歯周病に罹ってしまった方は治療することで、歯周病菌を減らすことができます。
- 虫歯予防に大切なのは食べ物よりも食べ方
- ー 虫歯になりやすい方の食習慣はどのようなものでしょうか。
- 口の中に頻繁に食べ物が入っていると、プラークがたまりやすくなり虫歯のリスクが高まります。食べ物を摂取してから約30分くらいは口の中が酸性の状態になるので、歯が溶けやすく虫歯になりやすい環境になります。
例えば、手元にお菓子などを置いておいて、ずっと“ながら食い”のように食べ続けているのは良くないですね。甘いものを食べると虫歯になるということではなくて、どのような食べものであっても時間を決めて食べないと虫歯になりやすいです。
よく「甘いものを食べると虫歯になりやすい」と聞いたことがあると思うのですが、実際にはショ糖が虫歯菌のエサになります。そのため、お菓子を食べるときはなるべくショ糖を含まない代用甘味料を使ったものを選んだほうが虫歯予防になります。
- ー 他にも患者さんに生活指導をされることはありますか。
- お子さんに間食指導をするのはもちろんなのですが、歯磨きをきちんとしているのに虫歯になりやすいという患者さまには歯磨きの仕方の確認の他に食事や間食の内容を確認させていただいていますね。
やはり頻繁に飴などを舐めていたり、水分補給にジュースを飲んでいたりと口の中に食べ物や飲み物が入っている時間が長いことが多いです。
また、最近では炭酸やワイン、お酢を飲まれる方が多いのですが、これには注意が必要です。一見どれも健康的に見えるのですが、酸性度が高いので食事と一緒に摂るとお口の中が酸性になり、歯が溶けやすく、また虫歯になりやすい環境になってしまいます。例えば、ワインで晩酌をするときにショ糖を含む甘いおつまみを食べている方は虫歯のリスクがすごく上がってしまいます。
意外だと思われがちですが、糖分の含まれていない炭酸水も同じように酸性度の高い飲料ですのでお口の中が虫歯になりやすい環境になります。また、ホワイトニングの色戻りにも影響します。
絶対に飲んではいけないというのではなくて、なるべくショ糖を含むものと一緒に摂らないようにしたり、お水と交互にしたり、上手に飲んでほしいですね。
- 歯の健康は全身の健康につながる
- ー 歯の健康が全身の健康に関係があるのでしょうか。
- 歯周病菌が全身疾患に影響を及ぼす以外にも歯の健康は体の健康に関係があると思います。それ以外にも、よく噛むことは、認知症予防や肥満予防、味覚の発達に貢献しますし、唾液がよく出ることで消化機能を助ける働きもあります。
ただし、歯の健康というのは噛み合わせ、歯並び、歯周組織の状態などすべてが整っていないといけません。すべてが健康でないとどこかに負担がかかってきてしまうんです。歯の健康はバランスよく守れるようにしたいですね。
- ー では、歯の健康を守るためにお勧めのケアを教えてください。
- やはり一番重要なのは歯磨きですね。
歯を磨くときは、ほとんど力を掛けずに磨いてほしいです。目安は200gくらいの力なので、キッチンスケールなどで計ってみるといいですね。その力のかからなさに驚くと思いますよ。電動歯ブラシも正しい使用方法で使える方にはお勧めですが、間違えた使用方法ではどうしても力が入りがちなので歯や歯茎などを傷つける可能性があります。
歯医者さんで一度ブラッシング方法を教えてもらうと良いと思いますね。
また、磨く歯ブラシの硬さは、歯茎に炎症がある方は『やわらかめ』、炎症がない方は『ふつう』を選んでいただくのが良いかと思います。
歯磨き粉もさまざまな種類が出ているので選ぶのが難しいと思います。歯を白くする効果を謳っていて粗い研磨剤が入っているものは、長く使うことで白くなるけれど歯が削られてしまい、知覚過敏の原因になることがあります。歯磨き粉を使用する場合は虫歯予防効果のあるフッ素成分が配合されているものがお勧めです。
マウスウォッシュは、市販品は食べカスを取る程度のものなので、あくまでも歯磨きできない時の爽快感を味わうという目的で利用すると良いでしょう。歯科医院では歯周病菌などに対し高い殺菌力のあるものが販売されている場合もあります。
歯磨きの補助として歯間ブラシやデンタルフロスもありますが、特に歯間ブラシはサイズや種類が豊富です。ご自身に合っていないものの使用や、間違った使用方法は歯茎が下がってしまうなどの原因にもなりますので、歯科医院で使い方を指導してもらってから使うと良いと思います。
- ー 吉田先生が健康のために実践していることはどのようなことですか。
- 特別なことはしていないのですが、毎日の生活の中で続けられることをしていますね。
例えば、朝起きたらお白湯を飲んだり、体が欲しているときには豆乳や野菜、果物などのスムージーを作って飲んだりすることもあります。発酵食品は毎日取り入れていますね。もともと納豆とキムチが好きなのですが、複数の発酵食品を合わせて摂ると良いとのことなので2種類以上を一緒に食べることが増えました。
お味噌汁も毎日飲んでいますね。水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維を具にすると、発酵食品と食物繊維を一度に摂ることができるので重宝しています。最近、母から乳酸菌は夜に摂ると良いと聞いたので、夜小腹が空いたときにヨーグルトを食べるようにしました(笑)
間食は持ち歩きも便利ですし、子供も好きなナッツやドライフルーツを食べることが多いです。ただ、無理せずに食べたいときにはチョコレートなども食べちゃいます。アーモンドチョコは大好きです。何よりストレスにならないことが大事ですね。